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第24章

中島由美子はクラブのソファに緊張して座り、隣で落ち着かない様子の中島千夏に何度も視線で合図を送っていた。

今年ちょうど十八歳になったばかりの中島千夏は、こういった場所に来るのは初めてで、しかも噂に聞く権勢絶大な長谷川冬馬の前となると、緊張で手のひらに汗をかきながらも、つい目はデスクの向こうの男性へと盗み見るように向けられていた。

黒いスーツが男の凛とした体つきを際立たせ、横顔の輪郭は冷たく流麗で、高い鼻筋に薄い唇を固く結び、周囲には人を寄せ付けない強烈なオーラを放っていた。

彼はただそこに座っているだけで、心拍数を上げ、息を詰まらせるには十分だった。中島千夏の頬はそっと赤みを帯びていた...