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第20章

北野紗良はシートベルトを締め、窓の外を流れていく街の景色を眺めながら、静かな口調で言った。「会社がお金に困っているの」

伊藤美結は水を吹き出しそうになった。

「北野お嬢様、冗談でしょう?北野グループがどんなに落ちぶれたとしても、お嬢様が学校に戻って策を探さなければならないほどお金に困るなんてありえないでしょう?それに、お金が足りないことと藤原光司の講義を聴くことに何の関係があるの?まさか彼の力を借りようとしているの?」

「彼はお金を持っている」北野紗良は簡潔に答えた。

伊藤美結は一瞬言葉に詰まり、すぐに反応した。

「つまり……藤原家と提携したいってこと?ねえ、紗良、熱でもあるの...