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第12章

「お嬢様、どうして直接いらっしゃったのですか?何かございましたら、お電話一本いただければすぐに対応いたしますのに」佐藤部長は媚びた笑みを浮かべながらも、その目には一筋の動揺が隠されていた。

北野紗良は冷ややかな目で、かつて中島由美子と手を組み北野グループを食い物にしたこの男を見据えた。

前世では、北野グループを中島由美子と北野浩二に任せた後、わずか三年で会社は倒産寸前に追い込まれ、佐藤大和は中島由美子と共に資金を持ち逃げし、二度と戻ってこなかった。

「佐藤部長、最近の会社の帳簿と財務諸表を見せてもらいたい」北野紗良は単刀直入に切り出した。

佐藤部長の笑顔が凍りついた。目が泳いでいる。...