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271話

「グレース」

チャールズの荒い息づかいがオフィスの静寂に響き渡り、私の激しく鼓動する心臓の音と対照的だった。疲れていたけれど、久しぶりに生きている実感があった。私たちはソファに絡み合うように横たわり、セックスの香りが空気に漂っていた。奇妙な高揚感が湧き上がり、安堵と生々しい欲望が混ざり合った強烈な感覚だった。

絆を断ち切る儀式の後、彼の周りでパチパチと弾けていた魔力が、今は違って感じられた。もはや遠くのざわめきではなく、私の肌に触れる感覚的な流れとなり、息を呑むほどだった。圧倒されるというより、活力を与えられるような感覚で、エネルギーが血管を駆け巡り、何週間も私を悩ませていた疲労感を追い払...