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212話

グレース

シャルルが電話を切った瞬間、私は椅子に力なく崩れ落ちた。胸が締め付けられて息もできないほどだったが、頭の中は冴えていた。車内では、イーソンが私に与えた何かの効果とシャルルの言葉を消化しながら、残りの道のりをずっと黙ったままだった。車が停車すると、窓の外を見た。午後の太陽に黄金色に輝く広大な畑が、見渡す限り広がっていた。運転手がエンジンを切ると、車内は静かになった。いつもエネルギッシュな4歳のセシルはチャイルドシートの上で跳ね、興奮で体を震わせていた。まだ1歳にもならないリチャードでさえ、抱っこ紐の中で元気づいて、広い空に向かって喃語を発していた。

「わあ!」セシルが甲高い声を上げ...