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207話

「チャールズ」

冷たい夜の空気も、私の内側で燃え盛る炎を鎮めるには足りなかった。あんなに明らかに混乱しているグレースをあのまま置いてきたこと?俺の最善の判断とは言えない。

それでも、もう少し長く留まっていたら、事態はさらに悪化していただろう。彼女は新しい本能に慣れる時間が必要だった。そして、まだ伝えられないことで彼女の本能を刺激し続ける俺がそばにいては、それは不可能だった。

しかし、心の片隅では、果たして俺は彼女にすべてを話せる日が来るのだろうかと思っていた。

長年かけて培った忍耐力も、グレースの前ではほんの少ししか残らない。それは私たちが近すぎるからかもしれない。私たちが置かれている...