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183話

グレースは電話をかけ直してこなかった。今夜までは何も連絡がないだろうという予感がしたが、シルバーライトに到着すると、そんな考えは頭から追い出した。車から降りて、尋問のためにライオンを収容している建物へと向かった。

パトロールに加わった二人の吸血鬼が硬い表情で私に頷いた。尋問を担当していたエンフォーサーが、暗い表情で扉を開けた。

私は最悪の事態に備えた。

「どうだった?」

彼は首を振った。

「何度も何度も尋問したが、あの子はボロボロだ。同じことを繰り返すだけで、他には何も言えない状態だ」

「何を言っている?」

「ライカンは吸血鬼と条約を結ぶべきではないと。かなり聞くに堪えなかっ...