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111話

「グレイス

アミラが出てきて、また氷の袋とアイスキャンディーを持って戻ってきた。

「私が持っていくわ」

アミラは警戒した様子で私を見たが、それを手渡した。

「イーソンと少し二人きりで話す必要があるの。メインラインを頼めるかしら?」

アミラはドアの方をちらりと見て、うなずいてから振り返って出て行った。私はチャールズとの通話を切り、ドアを押し開けた。イーソンは半分身を乗り出し、片手でタイプしながら、溶けた氷の袋を胸に押し当てていた。袋の中で最後の氷が溶けていくのが見えた。彼は肩と耳の間に電話を挟み、誰かと話していた。私はドアを閉め、アミラが記者か市民からの電話に対応しているのかと考えた。彼は顔を...