4話
「王様レイの視点」
毎年10月11日、私は王国内のあらゆるパックを回って伴侶を探さなければならない羽目になる。もっと重要な仕事があるというのに、丸一週間もそれに費やさなければならないのだ。私が6歳の時、大きな戦いでロッキーマウンテン王国の王と王妃が命を落とした。王妃は娘を産んだが、その子は戦争中に謎の失踪を遂げた。私の父は王の親友だった。二人は共に育った仲だ。父はグリーンバレー王国の王だった。王妃は私が生まれた頃に息子を産んでいた。
エリックと私は大きな戦いが起きた時、共に6歳だった。彼の両親が戦いで亡くなった後、私たちは兄弟のように育った。彼の両親が亡くなった後、ロッキーマウンテン王国の王は最期の時に、エリックが王位を継ぐ年齢になるまで父に両方の王国を治めるよう頼んだ。父はそれに同意した。その時、父は彼女をいつか見つけて王国に連れ戻すと約束した。戦いの前、彼女の父と私の父はいつも私たちが伴侶になると言っていた。当時の私はそれをナンセンスだと思っていた。
当時6歳だった私だが、振り返ってみると、王妃が妊娠を発表した時、私は彼女に対してとても保護的だった。彼女の父と私の父が私たちを伴侶と考えていたのも理にかなっていた。そんなことを考えていると、ドアをノックする音がした。私のベータ、ケイレブだった。
「陛下、準備はよろしいですか？」ケイレブが尋ねた。
「いつでも行けるよ」と私は答えた。
私は予定表を手に取り、宮殿の正面へと向かった。今回はホワイトウォータークランを訪問する。私の旅の一行は、ベータのケイレブ、オメガのブリタニー、私の妹で王国の王女とその伴侶ランディ、そして最高の戦士4人、ザック、レオン、マイク、そして彼の伴侶シエラで構成されていた。私は黒いハマーで移動するのが好きだ。クランに到着すると威圧感があり、彼らに健全な恐れと敬意を持ってもらいたいからだ。私のオオカミのナッシュが話し始めた時、私たちはホワイトリバークランへ向かっていた。
「今回の旅で伴侶を見つけられるといいな」とナッシュが言った。
「私もそう思うよ、ナッシュ。毎年これをするのはうんざりだ」と私は答えた。
「女たちがみんなあんな下品な服装をしているのもね」とナッシュが返した。
「わかるよ、あれは本当に興ざめだ」と私は答えた。
ナッシュは私の心の隅に戻っていった。ホワイトリバークランへの旅はあっという間だった。
ベータが精神リンクで伝えてきた。「境界線まであと20分です」
「ありがとう、ケイレブ」と私は答えた。
いつも署名すべき作業命令書や承認すべき建物の設計図、その他の重要な問題がある。2日前にはならず者の襲撃があり、彼らを拘束している。まあ、一人だけナッシュと戦おうとした馬鹿がいたが、言うまでもなく彼の体はバラバラになった。私は彼らの一人を尋問する機会があったが、彼は行方不明の王女がどこにいるかについて支離滅裂なことを言っていた。彼女が私の王国のクランの一つにいるというのだ。ロッキーマウンテンクランの王エリックもならず者の問題を抱えているのか気になった。
また、なぜ突然ならず者の襲撃が増えているのかも知りたい。さらに、新しい戦士たちの技能を試し、彼らがアカデミーを卒業するためにどれだけの訓練が必要かを確認する必要がある。私の王国では、すべてのクランは必要に応じて王国を守るために全ての人々をアカデミーに送り、訓練させなければならない。そうすれば、再び戦争になった時、誰もが敵から身を守ることができる。それはエリック王と私が同意している多くのことの一つだ。そんな重要な問題について考えていたところで、
「レイ、もし伴侶を見つけたらどうするの？」と妹が精神リンクで尋ねてきた。
「今年見つかるとは思えないよ」と私は答えた。
「もし見つけたら？」とブリタニーが返した。
「もし彼女が生きていれば、兄のところへ連れて行くさ」と私は答えた。
「もし見つけて、彼女があなたの伴侶だったら？」とブリタニーが尋ねた。
「彼女を宮殿に連れ帰り、兄に彼女を見つけたことを知らせるよ」と私は答えた。
「彼女が生きていて見つかるといいわね。彼女の兄、エリック王は彼女に何が起きたのか確かめる必要があるわ」とブリタニーが返した。
「ホワイトリバークランの境界に近づいています」とケイレブが言った。
私はクラン訪問が嫌だ。予想通り、警備兵が至る所にいた。それ以下のことは期待していない。王として、私は厳格な支配者として知られている。最初の検問所に到着すると、3人の新しい警備兵がいることに気づいた。彼らはアカデミーを出たばかりのようだった。震えていた。彼らは自分たちの王だと知っていたのだ。
私たちはパックハウスまでエスコートされ、そこでアルファと会う予定だった。明朝、若い女性たちの中に私の伴侶がいるかどうかを確認する。彼は地下牢から出てきた。誰かを殴ったばかりのようだ。私は車から降りた。
「罰を与えた相手がそれに値する行いをしたことを願うよ」と私は言った。
彼は民の間で不公平な扱いをする評判があり、奴隷を持っているという噂もあるが、私は見たことがない。
「境界線にいた者たちは適切な身分証明を求めなかった」と私は言った。
「彼らは新人のようだから、今回は見逃そう」と私は続けた。
「あなたの村を見て回りたい」と私は言った。
「ご意向のままに」と彼は答えた。
その時、軽い風が吹いた。その風に乗って松の木、バニラ、そして血の香りがした。
ナッシュが叫ぶ。「伴侶だ」
私は地下牢へ向かって走り始めた。
「何を急いでいるのですか、陛下？」とマークアルファが尋ねる。
マークアルファはほとんど私についていけない。彼は地下牢の入り口で私を止めた。廊下の奥で拷問を受けている囚人の声が聞こえる。地下牢ではそれは珍しいことではない。地下牢のドアの近くでその香りは強くなった。ドアから中年の男が出てきた。彼は私より年上だが、誰かの血が付いていた。それは彼女の血だった。マークアルファはローランドを地下牢に戻した。彼は私の道を塞ごうとし続けた。私は彼を押しのけ、ケイレブに精神リンクで彼を拘束するよう命じた。
私は地下牢のドアを開けた。二つ目の独房のドアに向かい、ドアを蝶番から引きはがした。驚いたことに、私の伴侶が天井に繋がれた鎖で拘束され、ひどく殴られていた。
「彼が私にやらせたんだ」と彼は言った。
私は彼を壁に投げつけた。
「マークアルファが私にやらせたんです」とローランドは言った。
「後で相手にしてやる」と声が言った。
私は彼に説明する機会すら与えなかった。ザックは彼を拘束した。私は彼女の手首から鎖を引きちぎり、自分のシャツを脱いで彼女を包んだ。ケイレブはすでに車を待機させており、私は後部座席に飛び乗り、彼は病院へと車を走らせた。
「全員を拘束しろ」と私は命じた。