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古い研究室

トリスタン視点

背後で古い書斎のドアをそっと閉めると、カチリと小さな音がした。古いオーク材の重みで蝶番がきしみ、まるで私と共に嘆いているかのようだった。

書斎は古い本の匂いがした。部屋の隅には埃が溜まっていたが、気にもならなかった。

椅子に深く沈み込むと、軋む音がした。革は縁がひび割れ、かつてエステルとここで過ごした長い夜々を物語っている。彼女はリクライニングチェアに脚を折り畳んで座り、膝に日記帳を広げていた。私が仕事そっちのけで彼女を見つめているのに気づくと、その瞳は輝きを増したものだ。

右手の引き出しにゆっくりと手を伸ばす。中に何が入っているか分かっている、その重みで手が震えた。私たちが...