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59。ライター

「フォックス視点」

私は車を走らせて研究所へ向かった。ここが建設され稼働してから初めての訪問だった。シーザーが外で私を待っていた。彼の顔に浮かぶ不機嫌な表情は、私自身のものと同じだった。俺たちは二人とも陽気な性格とは無縁の存在だった。車から降りて彼の隣に立ちながら、タバコに火をつけた。「やっと巣穴から出てくる気になったか」と彼が言うと、私は肩をすくめて一服した。

「で、ガキは俺がここにいるって知ってるが、お前が来るとは言ってない。どう立ち回る?」私は鼻を鳴らした。「いつもどおりさ。威圧して、見せしめにして、忠誠心を植え付ける」シーザーは笑った。「お前には愛による統率なんて最初からなかったな...