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69話

翌朝、セシリアはドアベルの音で目を覚ました。眠たげな目をこすりながらドアまで歩いていくと、制服を着た配達員が立っていた。

「メディチさん、ラッセル様からのお荷物です」と彼は少し恥ずかしそうに言った。「昨日お届けしようとしたのですが、お会いできませんでした。ラッセル様はコンシェルジュに預けるなと言われたので、今日また来ました」

「待って、ジュリアン・ラッセルからですか?」セシリアの眠気は一瞬で消え去った。

配達員はうなずいた。

「それなら受け取れません」セシリアはきっぱりと手を振って言った。「お持ち帰りください」

「メディチさん!」配達員は懇願した。「ラッセル様は、もしお受け取りになら...