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67話

セシリアが話し終わるとすぐに、賑やかな音楽が再び鳴り響き、皆はパーティーに戻っていった。

そのとき、廊下から急ぎ足の足音が聞こえてきた。それを聞いたセシリアは、アラリックの手を掴んでテラスの反対側へと駆け出した。彼女が太いロープを掴もうとした瞬間、アラリックが優しく彼女の手首をつかんだ。

「遅すぎる」アラリックは小声で呟いた。

セシリアは驚きで目を見開いた。見上げると、ジュリアンの部下たちが既に近づいていた。彼らが何かを言う前に、アラリックは彼女を引き寄せ、自分の体で彼女を守るように、膝を少し曲げた。

「しっかりつかまって、怖がらないで」アラリックの低い声が彼女の耳元で囁き、彼女の心臓...