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49話

「エリキンさん、本当に申し訳ありません」とセシリアは頭を少し下げ、誠意を込めた声で言った。「ちょっと外の空気を吸いに出ただけで、何も見ていません」

セドリックは柔らかく笑ったが、その笑いはセシリアの背筋に戦慄を走らせた。彼は警告もなく振り返り、深くて細い目でセシリアを見つめた。その視線の強さは、彼の表情を曖昧にする薄暗い光の中でも感じ取れるほどで、彼女は息をするのも困難だった。

そして、セドリックは視線をそらした。彼はもはやセシリアに注意を払うつもりはないようだった。それに気づいて、セシリアはようやく安堵のため息をついた。

セドリックは本当に謎めいた人物だった。

「まだ話す気はないのか...