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第254話選択の余地はない

「冗談でしょう、アリア? 本気で言ってるの?」

セシリアはアリアに冷たい視線を投げかけた。その琥珀色の瞳が、鋭くきらめく。「どうして私が悪魔なんかに好かれなきゃならないのよ」

アリアはくすりと笑い、ティーカップの縁を指でなぞった。「どうかなさいましたか、メディチさん? 今さら怖じ気づいたとか?」

「怖じ気づいたとか、そういう問題じゃないわ」セシリアはカップを叩きつけるように置き、コーヒーが数滴こぼれた。「この依頼、馬鹿げてる。たとえ引き受けたって、私にできるはずがない」

「試してもみないで、どうしてわかるんです?」アリアは片眉を上げ、からかうような口調で言った。「メディチさんのような美し...