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チャプター213ルーム

その声に、セシリアが振り返ると、影の中からアラリックの長身が現れた。彼の深い瞳には、読み取りにくい憂慮の色が微かに浮かんでいた。

彼女は一瞬言葉を途切れさせ、それから尋ねた。「何かご用があるのではなかったのですか? どうしてここに?」

アラリックは唇の端をかすかに吊り上げ、落ち着いた声音で言った。「思ったより早く片付いたんだ」

彼は手を伸ばし、セシリアの手から小さな箱を受け取ると、しばし彼女の顔を見つめ、優しい声で言った。「いじめられたりしなかったか?」

セシリアは気まずそうに咳払いをし、頬をうっすらと赤らめて言った。「大丈夫よ」

彼女の視線は、近くに立っているクレオに向けられた。ク...