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39話

フェンリル・ダネスティ視点

「ニコレータが君と話したんだな…」私は言葉を吐き出すように言った。

彼女は食べ物を飲み込んだ。

「彼女は単に、あなたの好物がサルマーレだと教えてくれただけよ。偶然にも、それは私の料理の得意分野の一つなの。だから食べたくなって、自分用に作っただけ。特別なことじゃないわ」

私はキッチンへと足を踏み鳴らしながら向かった。コンロにも、オーブンにも、どこにも鍋はなかった。彼女は料理し、掃除し、すべてを片付けてしまったのだ。そして確かに、私の分は何も残っていなかった。

冷蔵庫を開けると、怒りが全身の毛穴から沸き立っていた。牛乳の入った水差しと数個の果物以外に、すぐに食...