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296話

時は止まらず、旅はいつか終わりを迎える。私の足取りは遅かったが、ついに終点に辿り着いた。今、私はネイサンの部屋のドアの前に立っている。鼻先がネイサンのドアに触れるほど近づいている。体中が痺れ、わずかに震えている。今できることといえば、呼吸と心拍のペースを整えることだけだ。

私は聞いてしまった。確かめてしまった。途中で、重い喘ぎ声が聞こえたからだ。それは女性のものではなく、私の愛する妻の裸の体に絶え間なく腰を打ち付ける男の荒い息遣いだった。その呼吸音はあまりにも馴染み深く、間違いなくネイサンのものだった。

さらに近づくと、隣の部屋で行われている愛の営みがはっきりと聞こえる。激しい戦いではなく...