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72話

「シャワーを浴びるのに少し助けが必要かもしれない」とセオドアが言った。彼の黒い瞳に悪戯っぽい光が宿り、私の顔は一瞬で真っ赤に染まった。からかうような口調にもかかわらず、彼の顔に刻まれた疲労の跡や、車椅子の肘掛けを少し強く握りすぎている様子が見て取れた。

「あなたって本当に困った人ね」と私は呟き、燃えるような頬を隠すために顔をそむけた。しかし恥ずかしさの奥で、胸に温かい感情が湧き上がった。この彼の茶目っ気のある一面は、私が最初に結婚した冷たく威厳のあるCEOとはあまりにも違っていた。

結局、セオドアは一人でシャワーを浴び、私はバスルームのドアの外で行ったり来たりと歩き回っていた。大理石の床は...