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チャプター 360: 早期労働

目を開けるより先に、病院特有の消毒液の匂いが鼻をついた。モニターの規則正しいビープ音と、廊下から聞こえてくる看護師たちの遠い声で、自分がどこにいるのかはすぐにわかった。無意識に丸みを帯びたお腹に手をやると、中からいつもの胎動が感じられ、安堵の波が押し寄せてきた。

「マイク?」かすれたしゃがれ声で、そっと呼びかける。ベッドの横にあった椅子が軋み、彼の心配そうな顔が不意に視界に入ってきた。

「サラ、よかった、目が覚めたんだな」。彼は身を乗り出し、何時間も徹夜で看病していたかのような真剣さで私の顔を覗き込んだ。「気分はどうだ?」

「今、何時?」腰の鈍い痛みを無視して、身を起こそうともがく。部屋...