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25話

【サラ】

私はタクシーから降り、私立病院の前の歩道に立った。午後遅くの日差しが、色付きガラスのドアに反射して眩しい。中に入ると、消毒薬の匂いが漂い、冷たい空気が頬を撫でる。待合室は静かだ—白い壁、磨き上げられた床、そして光沢のある雑誌をめくる数人の患者たち。ここにいる誰も、閉ざされたドアの向こうで私に何が行われたのか知らない。それを手配した者たち以外は。

私は肩を張って受付に向かう。当直の看護師が顔を上げ、職業的な笑顔を浮かべている。「ご用件は?」

「医療記録の担当者と話したいのですが」私は冷静で毅然とした声で言う。社交辞令に割く時間はない。もう良い顔をするのはやめだ。

看護師の笑顔が...