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89話

成る程、木の上にはたくさんの網が石を包み込み、葉の中に隠されていたのだ。それまで誰も気づかなかった。

李小川と王沐が敵を奥へ誘い込んだ後、仕掛けを作動させ、石が落下して敵に痛打を与えたのだ。

「くそっ、まさか罠が仕掛けられていたとは」馬三は顔を青ざめさせながら、大声で怒鳴った。

無影剣の老いた顔にも赤みが浮かんだ。先ほどまで罠はないと断言していたが、相手は伏兵ではなく機関を仕掛けていたのだ。

実際、これは無影剣と馬三が油断したせいではない。通常の抗争では誰も罠を仕掛けるなど考えないものだ。これは裏社会の抗争であって、戦争ではないのだから。

李小川は幼い頃から山林を駆け回り、罠や仕掛けで...