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857話

「別に怖くて避けているわけじゃないわ。あなたも知ってるでしょ、私たち電話でいつもあんなに親密に話すから、彼に聞かれたら面倒くさくて説明したくないの。私の夫は死んだけど、名目上はまだ彼の息子の嫁なのよ。私のことも考えてちょうだいな」

「ああ、分かってる」

「昨日は体調が悪くて、お寺に来られなかったの。あなたが電話をくれたのは私に会いたかったからだって分かってるわ。私だってあなたのこと毎日考えてるんだから」

「それを聞いて安心したよ。そういえば、お前と香蘭の店の件はどうなった?」

「ああ、最近は店舗探しで忙しいのよ。なかなか気に入った場所が見つからなくて。賑やかな場所は家賃が高すぎるし、少...