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763話

「あん、旦那様、あなたのこと大好きよ」二香はいつも目の前の男を村長と比べてしまう癖があった。比べてみれば、あの村長という老いぼれなど物の数にも入らない。しかし彼女は現実的な女だ。豊かな暮らしに憧れながらも、楽をして手に入れたいと思っていた。村の女たちが労働で一人また一人と黄ばんだ顔のおばさんになっていくのを見るたび、恐ろしくてたまらなかった。幼い頃から苦労知らずで育ち、農村に生まれたとはいえ、その運命を受け入れる気はなかった。自分の魅力を武器に、何とか村長の息子と結婚し、幸せな生活を手に入れたと思ったが、その男は新しいものが好きで古いものに飽きやすく、長くないうちに彼女への興味を失い、仕事とい...