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605話

「さっき、彼が全部話してくれたんだ。お前と鉄蛋の約束のことも含めてな!」

「あ——」

「梅子よ、見損なったぞ。兄貴の前で芝居を打っていたとはな。お前、火遊びしてるって分かってるのか?」

「お兄ちゃん、私だって望んでたわけじゃないの!最初は、三十万あれば兄ちゃんの命が救えるなら、私が死んでもいいって思ってた。本当よ、その時は死ぬ覚悟で、偉哥を裏切るつもりはなかった。でも、鉄蛋がこんなに優しくて誠実な人だなんて思わなかったの。彼は私が見えないからこそ、あんな衝動的な感情を持たなかったのかも。それで、貞操を守りながら王家から逃げ出せないかって考えたの。だから鉄蛋と約束をして、彼を説得して、彼の両親も...