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532話

突然、今までの辛さも報われたような気がした。

馬姉さんは嘘をついていなかったじゃないか。ここで一年半も働けば、都会で家を現金一括で買えるんだ!

お金のためなら、我慢するしかない!

自分を人間だと思うな、と自分に言い聞かせた。

人間のままでは、ここでは持ちこたえられない。

小玉が戻ってきた。手には氷嚢を持っていた。

「小玉、どこから持ってきたの?」好奇心から尋ねた。

「この建物には、毎日氷嚢が必要な人があなただけじゃないから。クラブはちゃんと準備してるわ。冷蔵庫のある部屋があるのよ」

そう言われて納得した。

この仕事をしている人は誰も楽じゃない。

「お金を私に預けて。このお姉さんは気性が荒いけど...