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2869話

これで正体不明の人物の身元が露呈した。

呂治国は一目見て、この男が王濱という名前で、二十七歳、地元の人間だと分かった。

運転免許証の写真を見ると、王濱はとても実直そうな顔立ちで、彼の狡猾な行動とは結びつきにくい印象だった。やはり人は見かけによらないものだ。

時間を無駄にはできない。彼は電話をかけて部下を二人呼び、合流した後で王濱の家へと車を走らせた。

古びた団地で彼らは王濱の住まいを見つけたが、本人は不在だった。近所の住人に尋ねると、誰かが王濱は「唯美」装飾会社で働いており、運転手だと教えてくれた。

「唯美装飾会社」と聞いて、呂治国はどこか聞き覚えがあると感じた。向かう途中で、彼は突然思い出し...