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202話

「なんか様子が変だったんだ。それに、その夜、職場の主任も残っていて、オフィスの電気もついていたから、彼が探しに来てくれて、間一髪で助けてくれたの」

「まさにヒーローが美女を救ったってわけだね!」私は感慨深げに言った。

「もう工場にはいられなくなって、辞めたんだけど、彼も数日後に解雇されたの。主任の報復よ。私のために、彼は仕事まで失ったんだ。それから私たちは少しずつ近づいて、兄の病気が悪化するまではね」

私には分かっていた。梅子は全てを話してはいないが、少なくとも彼らの関係の経緯は理解できた。

ああ、ヒーロー然と美女を救い、仕事を失い、全財産を梅子に渡したか。

梅子が彼をそれほど大事にするのも無...