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1559話

「浄善師匠、如夢師匠はただ今私に仏経を説いてくださっていたのです」王鉄蛋は慌てて説明した。如夢もゆっくりと立ち上がったが、その顔には少しの動揺も見られなかった。

「阿弥陀仏、善哉、善哉!汪保安、慌てることはありません。仏法を広めることは仏教徒の務めですから。貧尼はお二人の邪魔をするつもりはなかったのですが、もう夜も更け、露も濃くなってきましたので、如夢に早めに戻って休むよう伝えに来ただけです。朝のお勤めに遅れぬようにね」

浄善は後院を見回りに行ったが如夢の姿が見えず、あちこち探していると、大殿で二人がきちんと座っているのを見つけたのだった。彼女は如夢と同じ寺で過ごしてきたため、その人柄をよ...