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1320話

木々の刺々しい香りと松の樹脂の熟した油のような香りが混ざり合い、自然の親しみやすさを感じさせた。

二人で山頂を目指して登っていく中、最初は呂治国が陳潔の手を引いていたが、いつの間にか彼女はその手を振りほどいていた。

陳潔の影だけが林の間を楽しげに漂い、湖のような青い色のスカートがちらちらと見え隠れしていた。彼女が通り過ぎる場所には花が咲き、一輪また一輪と鮮やかさを増していく。呂治国はその花の香りを頼りに追いかけ、巨岩や大木、洞穴を回り込みながら山頂へと登っていった。

女は時々立ち止まっては歩き、景色を眺めながら、遠くで歌を歌っていた。その歌声は風に乗って運ばれてきて、この世のものとは思えないほ...