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105話

結果、猛スピードで走っていた自転車が彼を引っ掛けて倒してしまった。

老人は体を傾け、そのまま隣の花壇に倒れ込んだ。

自転車に乗っていた若者は振り返って一瞥しただけで、止まるどころか、むしろスピードを上げて逃げてしまった!

くそっ、あまりにも非道じゃないか?

人をはねておきながら、見向きもせずに逃げるなんて。

周りの通行人たちが集まってきて、私も足早に近づいた。

人だかりをかき分けて中を覗くと——

老人は芝生の上に倒れ込み、顔色は青紫、両目を固く閉じ、口から白い泡を吹き、手足を痙攣させていた。右脚のズボンは花壇の柵に引っかかって破れ、すねから血が流れていた。

見物人は多かったが、老人を助けようと...