




1話
数年前の交通事故で私は目が見えなくなった。医者は「いつ回復するかもしれないし、一生治らないかもしれない」と言った。
目が見えなくなってからの日々、私は精神的に崩壊寸前だった。死のうとさえ考えたが、家族が支えてくれて心の慰めとなった。
特に義姉は、いつも優しい声で話しかけ、細やかに気遣ってくれ、心の支えになってくれた。見ることはできないが、義姉はきっと美しい人なのだろうと想像していた。
「うぅん……」
夜中、私が熟睡していると、突然隣の部屋から義姉の声が聞こえてきた。「鉄義、がんばって。明日村を出て仕事に行くのよね。半年も帰ってこないんだから……」
その声を聞いた私は、思わず頭を壁に押し付け、もっとはっきりと聞こうとした。
壁に耳を当てなければ良かったのに、当てた途端、頭の中で「ぶんぶん」と音が鳴り響いた。
目は見えなくても、義姉の魅力的な姿、小さな桜色の唇で息を荒げている様子が想像できた。
その瞬間、ある考えが頭をよぎった!
そんな考えが浮かんだ途端、罪悪感が押し寄せてきた。兄と義姉が私にこんなに良くしてくれているのに、義姉に対してそんな不埒な思いを抱くなんて。
必死に耳を塞いだが、無駄だった。この古い家は防音効果が悪すぎる。
体の中に湧き上がる熱い感情を、私はどうすることもできなかった……
ああ、もし見ることができたらどんなに良いだろう!
「ダメだ、ダメだ……」
私は激しく頭を振って、邪念を振り払おうとした!
「ドン!」
不意に頭を壁にぶつけてしまった!
我に返ったとき、なんと私の目が見えるようになっていた。はっきりとものが見える。
慌てて明かりをつけようとしたとき、壁に小さな穴があり、そこから光が漏れているのに気づいた。
恐る恐る近づいて覗き込むと、向こう側の光景に私は凍りついた。
隣の部屋の光景はあまりにも魅惑的で、喉が乾き、体がまた熱くなるのを感じた。
兄は一度うめき声を上げると、すぐに目を閉じて寝息を立て始めた。
義姉は眉をひそめながら体を拭き、美しい顔に不満の色を浮かべていた。
拭き終えると立ち上がり……その完璧な体のラインが全て私の目に焼き付いた。
彼女はドアを開けて出て行き、すぐに外の浴室から水の流れる音が聞こえてきた。
浴室はリビングの隣にあるため、もう義姉の姿は見えない。
目の前には熟睡している兄の姿、耳には義姉の入浴する音。私は兄を裏切るようなことをしてはいけないと自分に言い聞かせた!
しかし、義姉の魅惑的な姿が頭から離れず、やっと落ち着いた体がまた熱くなってきた。
「コンコンコン、コンコンコン」
「鉄蛋、寝た?起きてたら義姉さんがハンガー借りに来たんだけど」
突然ドアをノックする音と、義姉の銀の鈴のような声が聞こえてきた。
私はびくっとして、急いでズボンを上げ、ベッドに横になって布団をかぶった。
「少し寝てたけど、今は起きてるよ」
私の返事を聞いて、義姉はドアを開けて入ってきた。電気をつけると、省エネ電球の光で私は目を細めた。まだ光に慣れていなかった。