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969話

人間には競争心理と見栄を張る心理があるものだ。往々にして、何かを買うとき、自分だけが欲しいと思えば、たいていは買わないものだ。しかし、他人も争って欲しがるものなら、自分が手に入れる可能性は格段に高くなる。

まさに「物は稀なるをもって貴しとなす」というが、この言葉の真の意味は単なる希少性ではなく、争奪にある。誰もが争って手に入れようとするものこそ、本当に価値があるのだ。

どれほど希少なものでも、誰も争わなければ、その本来の意味を失ってしまう。古美術品や書画がそうだ。人々がそれらを求めて競り合うからこそ、古美術品の価格は高くなるのだ。

もし、ある日すべての人が古美術品を求めなくなれば、それは...