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823話

私は眉を寄せた。「兄さん、私が価格を知らないと思って舐めてるんじゃないの?さっきデパートで聞いてきたばかりなんだけど、これ買った時は三万八千だって言われたわよ。もし領収書を持っていたら、とっくに定価で返品していたところ。二万なんて、どう考えても納得できないでしょう!」

私がそう言うと、中年男性は目の前の若者がそう簡単にだませる相手ではないと悟り、ゆっくりと言った。「では、二万五千はどうだろう?我々質屋はリスクを背負うし、それに君も分かるだろう。指輪というものは、買う時は高くても、売る時はそこまでの価格にはならないんだ」

「ふん!三万だ、一円も引かない!正直に言うと、姉と義兄はつい最近結婚し...