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74話

予想外だったのは、朝方に客を見送ったばかりの店の前に、若い男性が現れたことだ。質素な服装をした朴訥とした印象の若者は、店の中をじっと見つめるだけで、入る気配がなかった。

思わず外に出て声をかけた。「お兄さん、何かご用ですか？」

すると、憎めない笑みを浮かべながら、その男は親戚だと名乗り始めた。「おじさんですよね？俺、李宝根です」

私は少し困惑した。こんな甥がいた記憶など全くない。

「人違いじゃないか？」私は疑わしげに、同時に警戒心を抱きながら李宝根を見つめた。

最近の詐欺師は実に巧妙で、わざと朴訥な人物を装うことも多い。用心しなければ！

李宝根は頭の後ろを掻きながら、「間違いありま...