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405話

外に出ようとしたとき、ちょうど向かいの寮から出てきた甥の姿が目に入った。

私は少し気まずい思いで甥に挨拶をし、すぐに視線をそらした。

先日、彼が二人の別々の女性と密会しているところを目撃してしまい、まだ甥の嫁にいつ話すべきか決めかねていたのだ。

だがいつ甥の嫁に話そうとも、私は甥を裏切る立場になってしまう。だから甥に会うと、どうしても少し気まずさを感じてしまうのだ。

「おや、韓おじさん、出かけるところかい?」甥は機嫌が良さそうに、目を細めて言った。

「最近、寮であまり見かけないし、話しに来てくれることもないけど、この数日は何か忙しいのかい?」

甥が気遣うように尋ねてきた。

「夜に見回りがあるだ...