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371話

「あの……今一番大事なのは、まずあなたを木から助け出すことじゃないかしら?」

この子のことを心が大きいと言うべきか、鈍感と言うべきか迷うところだ。自分が木に引っかかったままこんなに長い時間が経って、やっと人が来たというのに、助けを求めるどころか、ダメ男をディスっている。

女の子は一瞬きょとんとした後、照れくさそうに笑い出した。

「先生、お願いします」

私はうなずき、状況を注意深く観察した。

スカートが枝に引っかかってしまい、女の子は仕方なく爪先立ちになっていて、上にも下にも動けないといった様子だ。

「先生、どうしたらいいですか?この枝を折ってもらえませんか?」

女の子が横から知恵を絞り出す。

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