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292話

私は言いながら小梅を中へ招き入れた。小梅は入ってくるなり食事を机の上に置いて言った。

「お食事はここに置いておきますね……お兄さまが何かありましたら、いつでも呼んでください」

そう言って小梅は立ち去ろうとしたが、その時私は声をかけた。「ちょっと待って、小梅」

小梅は少し戸惑った様子で振り返ると、近づいてきた私の姿が目に入った。私は小梅の手を引いて隣の椅子まで連れていき、言った。

「急いで帰らなくてもいいよ。座って一緒に食べようよ」

私がそう言うと、小梅は途端に慌てふためき、急いで立ち上がった。「だめです、だめですよ!ご主人様やお奥様に知られたら、きっと叩かれてしまいます!私たちはお客様と一緒に...