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157話

「今回この街に来て早々に盗まれた金を見つけ、さらに容疑者の足取りまで防犯カメラに録画されていたなんて、本当にありがとう!」

なんの幸運だって?

これこそ俺の人生最悪の一日だというのに!

心の中では苦しさを抱えながらも、張紅雪のこの言葉のせいで、自ら過ちを認める勇気が完全に失せていた。彼女の心の中にある良い印象を壊したくなかったのだ。

だが同時に分かっていた。この素晴らしい印象も、彼女たちが交通局に行って映像を確認すれば、一瞬で崩れ去ることを。

自分から正直に打ち明けるか、それとも真実に偽りを暴かれるか?

この二つの選択肢の間で、俺の心は揺れ動いていた。

「阿立くん、用事がなければ先...