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1539話

目の前の警備員を見つめると、その水のように澄んだ大きな瞳に警備員の心は鹿のように跳ね、さっきまで私に抱いていた疑いなど、すっかり忘れてしまったようだった。

警備員は両手を慌ただしく振りながら、小雪と私を中へと案内し、一方で私に対して申し訳なさそうに言った。

「大変失礼いたしました、お客様。さきほどは長時間うろついておられたので、不審者かと思ってしまいました。すべて誤解だったようですね。どうか大目に見ていただいて、気にしないでください。さあさあ、どうぞお入りください」

警備員がそこまで言うのだから、私もこれ以上追及するのはやめておいた。結局は向こうが非を認めたのだし、小雪の後ろについて、胸...