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1258話

かすかに残る手の感触に、私は身体を震わせた。空いた片手が寂しく感じ、また秦麗に握ってもらいたいという欲求が湧き上がる。

おそらく親しい間柄だからか、秦麗は少しも遠慮する様子もなく、私の前を通り過ぎて彼が先ほど座っていた椅子に腰掛けた。片足を組み、最も心地よい姿勢を見つけると、ゆったりとした表情で私を見つめる。

「あなたったら、今日はどうして時間があるの?この時期になると、保健室が一番忙しくなるんじゃなかった?」

透き通ったストッキング越しに、赤いネイルが施された秦麗の足先が黒いハイヒールに隠れている様子は、上品さと色気を兼ね備えていた。

再び私の全身の血が沸騰するのを感じたが、今回は抑...