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655話

雰囲気は冷ややかだった。

ヨナが声を出した。

「張大師を殺すことなら、承知しよう」

一瞬にして場の緊張が緩み、胤真たちの顔に笑みが浮かんだ。

「ただし、私自身は手を下せない。教主バディが張大師を気に入っているからな」ヨナは言った。「大天使の一人を遣わし、張大師を奇襲させる。先に殺してしまってから、後は何とでもなる」

「さすが大天使様は先を見通しておられる」胤真は感謝の意を示した。

ヨナは続けた。「張大師が日々修行している場所は把握している。張大師が公にしていない以上、派遣する大天使には『異分子の排除』という名目で先に張大師を殺させよう。そうすれば教主も詮索しにくくなる。結局のところ、教主も天使...