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607話

穆康楽は自分が負けるとは思わなかった。

賭場の客たちも、穆康楽が負けるとは思っていなかった。

むしろ、彼らは何処からともなく現れたこの男が、秦家の宝物を持ち、恐れ知らずにも穆康楽と賭けをするとは何事かと好奇心を抱いていた。

相手は普通の賭博者ではなく、「蛇蝎美人」だというのに!

「蛇蝎美人は賭場で四十九回の登場、一度も敗北を知らない」

「毎回、蛇蝎美人は余裕で勝ってきた」

「その中には五品の半仙が蛇蝎美人と勝負を挑み、負けた後に自信を喪失し、修為に大きなダメージを受けたという話もある」

「蛇蝎美人と勝負するなんて、この小僧は本当に度胸があるな」

誰も張浩然に期待していなかった。

張浩然の後ろに...