




5話
「元気の保護があるから、張浩然は肖薇薇を傷つけることを心配していなかった。
漆黒の瞳で肖薇薇の腹部を凝視し、精神を一切緩めることなく、陰陽眼の視線の下、肖薇薇の腹部の中で手術用メスが通る場所がはっきりと見えていた。
学生たちは驚きの声を上げた。少しでも間違えれば肖薇薇は終わりだ。
「これは一体どんな手術なんだ?」
「信じられないメスさばきだ!」
「張浩然が皮膚の上からメスを操作してるなんて、あまりにも常識外れじゃないか!」
張浩然はすべての急所を避け、メスを軽く滑らせて虫垂を取り出し、同時にもう一方の手で玄金帰元術を運用し、元気を凝集させて肖薇薇の止血と痛みの緩和を助けた。
この動きは一見複雑に見えたが、実際はすべて張浩然の陰陽眼の洞察の中にあり、整然と秩序立てて、手順通りに進められていた。
張浩然の一連の動作は、周囲の学生たちの目に全て映っていた。
外科医を目指している徐晴は、目を見開いたまま呆然としていた。
「以前、先生が教えてくれたのは、ガーゼパッドで小腸を内側に押し、まず盲腸を見つけ、次に三条の結腸帯に沿って盲腸の先端まで追跡すれば、虫垂が見つかるということだった」
「でも張浩然は皮膚を通して正確に虫垂を切除した。しかも消毒用品を一切使わずに」
徐晴には多くの疑問があったが、最も聞きたかったのは、張浩然がどうやって手術中の出血を避けたのかということだった。
張浩然は徐晴から手術用の縫合道具を受け取り、肖薇薇の傷口を縫合した。
徐晴には張浩然の縫合の動きがぎこちなく感じられたのに、なぜか傷口はきれいに縫合されていた。手術の過程は極めて「簡素」だったが、細部に至るまですべてが肖薇薇にとって有益な結果をもたらしていた。
「出血なし、消毒なし、自前の麻酔効果。どうやってこんなことができるの!」
徐晴の心の中では千軍万馬が駆け巡るようだった。
新聞に書かれていた外科手術。
テレビで報道されていた伝説の手法。
噂の名医・酒青山の「半秒で針を打ち、わずかな範囲で」という奇跡の針術など。
これらは徐晴の脳裏に深く刻まれ、彼女が優秀な外科医になろうと決意させた医学の伝説的な物語だった。
それらが一瞬にして崩れ去った。
新聞に載っていた外科手術や手法は、張浩然が皮膚を通して「袋から物を取り出す」ように行った手術と比べるべくもなかった。
徐晴の偶像である名医・酒青山でさえ、もし彼がここにいて張浩然の手術を見たら、きっと血を吐くだろうと徐晴は確信した。
これが手術だろうか?
これはまさに怪物じゃないか!
もちろん、ここでの「怪物」には何の貶める意味もなく、徐晴はただ自分の衝撃を表現する言葉が見つからなかっただけだ。
なぜなら、彼女は肖薇薇が信じられないことに立ち上がるのを見たからだ。
「たとえ肖薇薇の回復能力がどれほど早くても、手術が終わったばかりで立てるはずがない」
徐晴の頭の中で何かが爆発した。目の前で行われた手術は、間違いなく医学史上の奇跡だった。彼女は自分の世界観が、まるで張浩然に鉄槌で叩き砕かれたかのように感じた。
「美人さん、どこを見てるの?これあげるよ」張浩然はメスと他の手術道具を徐晴に渡そうとしたが、徐晴が反応しないので、冗談めかして声をかけた。
そして真剣な口調で続けた。「手術の過程と細部は重要だ。どんな一歩も疎かにはできない」
彼が私に教えようとしてる?徐晴が反論しようとした瞬間、張浩然の疲れた様子を見て、なぜか心が和らいだ。彼女は張浩然から手渡されたメスと縫合道具を受け取った。
張浩然は肖薇薇に笑顔で言った。「少し歩いてみて。もう大丈夫なはずだ」
肖薇薇は試しに数歩歩いてみた。確かに何の問題もなく、普通の人と同じように歩けた。
「今はもうずっと良くなりました。ありがとう」肖薇薇の顔色は以前よりずっと良くなっていた。
張浩然は明るい笑顔を見せた。彼の顔色は白いながらも赤みを帯び、少しも青白くなく、先ほど肖薇薇を助けて疲労困憊だった様子とはまったく違っていた。
これが陰陽眼の効果のもう一つの表れだった。張浩然は空気中を流れる天地の元気を見ることができ、玄金帰元術を使って天気の元気を体内に吸収し、精神と身体の状態を急速に回復させていたのだ。