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345話

空が暗く沈み、遥か遠くで時折雷鳴が轟き、稲光が閃いている。

黒装束の男はまだ張浩然の姿を探し続けていた。

突然、上空から巨大な剣が雲を突き抜け、真っ直ぐに降下してきた。

より巨大な幽冥剣。

より速い速度。

その標的は明らかに蘇沐だった。

「ほう?」黒装束の男は眉を上げた。彼は張浩然のこの一撃が以前とは違うと感じていた。「蘇沐が危険だ。聶伧、私と共に速やかに後退するぞ!」

黒装束の男は蘇沐のことは構っていられず、聶伧と共に先に後退した。

ただ一人、蘇沐だけが正面から受け止めようとしていた。両手を空に掲げると、沸騰するような炎の鏡面が現れ、その鏡面に乾陽宝焔が浮かび上がった。

乾陽宝焔は火柱となっ...