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220話

南江省、寧平市。

寧平市は南江省の辺境にある小さな都市で、西湖省と接している。東海省の東林市から青烏鎮へ向かう列車は、寧平市を通過する際に十五分間の臨時停車時間がある。

列車が駅に停まると、乗客たちが降りて新鮮な空気を吸いに出てきた。

灰色の上着を着た中年男性が列車から降りてきたが、他の乗客のように足を止めて空気を吸うことはせず、むしろ急ぎ足で出口へと向かっていった。まるで急用があるかのように。

寧平市駅の出口へ向かう道には地下通路があり、中年男性はその地下通路の手すりのところまで来ると、辺りを見回した。ある若者が近づいてくるのを見てようやく安堵の息をついた。

「丁元老、お持ちしました」...