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212話

部屋の中、禿げ頭の男が凛と立っていた。前胸から背中にかけて発達した筋肉が広がり、爆発的なパワーを感じさせる。

男は鼻筋が高く、華夏人とは異なる顔立ちだった。片手にはサッカーボールほどの大きさの銅製のダンベルを持ち、両目は鏡に映る自分自身を見つめ、顔には殺気が満ちていた。もう一方の手では拳を振るう動作を繰り返していた。

この人物こそウェスベン。片手は静止させ、もう片方は動かすという形でコアの力を鍛えていた。

普通の人間ならば、この場にいるだけで恐怖のあまり逃げ出すかもしれない。ましてやウェスベンに話しかけることなど考えられないだろう。

岳群がどう切り出すべきか考えていたその時、張浩然はす...