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210話

状況が膠着していた時、スイートルームの廊下の片側のエレベーターが開き、二人が出てきた。

この二人は六七分ほど似た顔立ちをしているが、違いは一方が狡猾そうな目つきをしているのに対し、もう一方は堂々とした風格と非凡な雰囲気を持っていることだった。

「岳群!」

苗易は久しぶりに獲物を見つけたかのように声を上げた。だが彼の視線が岳群の隣にいる男に落ちた瞬間、目が震え、瞳の中の敵意が急激に弱まった。

「岳凡まで来るとは」

苗易の心はたちまち慌てた。岳群の隣にいる男こそ、パンダ温泉館の経営者、岳凡だったのだ。

岳凡は青烏鎮の三大勢力の一つを担う人物であり、その地位は青烏鎮の地下会所を管理する苗易のような者...