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48話

ピカピカの黒い革靴が埃っぽい土で曇り、高価なスーツが空気の凡庸な匂いを纏ってしまった。だがベータはこれでこそ本当に地面を踏みしめているような気がした。

彼はそれほど急いでいなかった。これまで祝珩の接待はいつも長引くもので、普段なら別荘でシャワーを浴びて自分を開発し終え、うとうとし始めた頃に祝珩が戻ってきて、そして深夜、突然体内に侵入してくる逸物に貫かれて目を覚ますのが常だった。

ベータ用のトイレは隣の後方支援スタッフの寮の外にあった。これらの一般的なベータたちは通常、清掃係か厨房で働いている。部屋を掃除する際は家具や寝具に一切のフェロモンの匂いを染み込ませてはならず、作る料理も必ず清潔で美...