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42話

ここは市街地から遠すぎて、彼は毎回タクシーが拾える場所まで少なくとも10分歩いてから、タクシーに乗って地下鉄駅へ行き、さらに40分ほど地下鉄に乗って会社ビルに到着する必要があった。彼より1時間ほど遅く家を出る同僚たちとほぼ同じ時間に会社で打刻するのだ。

しかしベータは疲れを感じなかった。この生活は少なくとも充実していて、現実感に満ちていた。

別荘での数年間、彼は温室で育てられた華奢な花のように、常に誰かに丁寧に世話をされていた。

だが彼は一瞬たりともその生活を心置きなく楽しんだことはなく、むしろ毎日びくびくしながら、指を折って日数を数え、何の期待もない退屈な日々を過ごしていた。

もとも...